「Siriって使えない」という不満が、ついに解消されるかもしれない
「Siriに聞いてもズレた答えしか返ってこない」「結局ChatGPTを開いてしまう」——iPhoneユーザーの間で長年くすぶり続けてきたこの不満が、2026年に大きく変わろうとしています。
2026年1月12日、AppleとGoogleは共同声明を発表。次世代のSiriにGoogleのGeminiモデルを採用することを正式に明らかにしました。単なるアシスタントの性能改善ではなく、アーキテクチャ自体を刷新する大改革です。
「どう変わるのか」「日本語でも使えるのか」「プライバシーは大丈夫か」——この記事では、新しいSiriの全貌を初心者にも分かりやすく解説します。
Siriはなぜ「使えない」と言われ続けてきたのか
まず現状の問題点を整理しておきます。現行のSiriは、2011年のリリース以来、基本的なアーキテクチャを引き継いできました。「タイマーをセットして」「天気を教えて」といった単純な操作は得意でも、複数のアプリをまたぐ複雑なタスクや、文脈を読んだ柔軟な対話は苦手です。
一方、ChatGPTやGemini、Claudeといった大規模言語モデル(LLM)は、文章の理解力・生成力・推論能力において飛躍的に進化しました。「SiriはAIアシスタントの中でもっとも遅れている」という評価が定着してしまったのはこのためです。
Appleは2024年にApple Intelligenceを導入し改善を試みましたが、高度な推論が必要な場面では他社AIに劣るという限界が残っていました。そこでAppleが選んだ解決策が、Googleとの提携です。
Apple×Google提携——何が起きているのか
提携の概要
AppleとGoogleが発表した提携の主な内容は次の通りです。
- AppleはGoogleのGeminiモデルをSiriのバックエンドに採用
- 次世代のApple Foundation ModelはGoogleのGeminiモデルとクラウド技術をベースに構築
- 複数年にわたる継続的な協力関係
この提携はビジネス面でも注目されています。Googleはすでに年間150億ドル以上をAppleデバイスのデフォルト検索エンジン契約に支払っていますが、今回のAI提携はそれを大きく超えるスケールになるとも言われています。
なぜGeminiを選んだのか
AppleがGeminiを選んだ理由として挙げられているのは、以下の点です。
- パラメータ規模: 最新のGemini Ultra系モデルは1.2兆パラメータ超とされ、複雑な推論に対応できる
- マルチモーダル性能: テキスト・画像・音声・動画を横断して処理できる
- プライバシー技術との親和性: GoogleのPrivate Cloud ComputeとAppleの既存プライバシー基盤を組み合わせやすい
新しいSiriでできるようになること
1. 複雑なタスクを「アクションチェーン」で実行
現行SiriはアプリAの操作とアプリBの操作を連続して行うことが苦手でした。新しいSiriでは、最大10個のアクションを連鎖して実行できるとされています。
具体的な例を挙げます。
- 「昨日の会議のメモをもとに、来週月曜日までにチームの全員に課題をリマインドするカレンダーイベントを作って、それをSlackの#projectチャンネルにも通知して」
- 「先月の出費を家計簿アプリから取り出して、食費と交通費だけの折れ線グラフをメモアプリに貼り付けて」
これまで手動で数ステップかかっていた作業を、一文の指示で完結させられるようになります。
2. 画面認識とオンコンテキスト理解
新しいSiriは画面に表示されている内容を認識して文脈に沿った回答を返せます。
- メールを開いた状態で「この件について返信の下書きを作って」と言うと、そのメールの内容を踏まえた返信文を生成する
- Webページを表示中に「これを3行で要約して」と頼める
- 写真アプリで特定の写真を見ながら「この場所どこか調べて」と聞ける
3. パーソナルコンテキストの深い理解
Siriは以下の個人情報にアクセスして、よりパーソナライズされた回答を生成できます。
| アクセス可能なデータ | 活用例 |
|---|---|
| 過去のメッセージ・メール | 「友達が勧めてた映画、何だっけ?」 |
| カレンダー・リマインダー | 「今週の空き時間に歯医者を予約して」 |
| ヘルスデータ | 「今月の睡眠データを要約して」 |
| 位置情報・よく行く場所 | 「いつもの駅まで今から何分?」 |
| App Storeの購入履歴 | 「最近入れたアプリで使ってないのは?」 |
4. より自然な会話の継続
話題をまたいでも文脈を保持したまま会話を続けられます。「さっきの話に戻るけど」「それを英語でも言って」といった追加指示に自然に応じます。
iOS 26のリリーススケジュール——いつ使えるのか
新しいSiriの展開には段階的なロールアウトが予定されています。
| バージョン | リリース時期(予想) | 含まれる機能 |
|---|---|---|
| iOS 26.4 | 2026年3〜4月 | 基本的な改善・パーソナルコンテキスト導入 |
| iOS 26.5 | 2026年5月 | Gemini連携のコア機能(アクションチェーン等) |
| iOS 27 | 2026年9月 | 完全版「Siri 2.0」の全機能展開 |
Bloomberg(Mark Gurman氏)の報告によると、当初iOS 26.4での一括公開を予定していたGemini連携機能は、iOS 26.5以降に延期される見通しです。完全な「Siri 2.0」の全機能を体験するには、2026年秋のiOS 27まで待つ必要がある可能性があります。
プライバシーへの配慮——データはどう扱われるか
AppleとGoogleの提携において、ユーザーが最も気になるのはデータのプライバシーでしょう。
Appleの取り組み
Appleは以下のアプローチでプライバシーを担保するとしています。
- オンデバイス処理を優先: 軽量タスクはデバイス内で完結させ、クラウドに送らない
- Private Cloud Compute: クラウド処理が必要な場合も、処理後に即座にデータを削除。Appleを含む誰もアクセスできないとされる
- ユーザー選択制: Geminiへのデータ送信はオプトイン方式で、ユーザーが有効化しない限り利用されない
懸念点
一方で、以下の点には注意が必要です。
- Geminiクラウドへの送信が伴うため、Googleのデータポリシーも適用される
- 個人情報(メッセージ・健康データ等)へのアクセス許可設定を適切に管理する必要がある
- 企業・組織での利用では、IT管理者によるMDMポリシー設定が推奨される
ChatGPTとの選択——新SiriとChatGPTどう使い分けるか
AppleはすでにChatGPT(OpenAI)との連携もiOS 18から提供しています。新しいGemini搭載Siriが来ると、どう使い分ければよいのでしょうか。
| 用途 | 向いているAI | 理由 |
|---|---|---|
| iPhoneアプリの操作・自動化 | 新Siri(Gemini) | iOS/アプリとのネイティブ連携が強い |
| 長文のリサーチ・調査 | Gemini Deep Research | 専用機能が充実 |
| 文章の執筆・編集 | ChatGPT / Claude | 文体調整の細かいコントロールが可能 |
| 画像生成 | Midjourney / DALL-E 3 | 専用モデルの方が高品質 |
| 日常の操作・簡単な質問 | 新Siri(Gemini) | ハンズフリーでシームレス |
結論として、「iPhoneを使っている間の日常的なAI操作」は新Siriが最も自然な選択肢になり、「より高度な調査・創作作業」は他のAIを使うという棲み分けが現実的です。
日本語対応の現状
現時点での日本語対応状況は次の通りです。
- Apple Intelligenceの日本語対応はiOS 18.4(2025年3月)から開始済み
- Gemini連携の新Siri機能は英語圏から優先的に展開される予定
- 日本語での完全対応は2026年秋〜2027年頃になる見通し
日本語ユーザーにとっては、まず英語版で先行体験できる機能を確認し、日本語展開を待つ形になりそうです。Siriの言語設定を一時的に英語に切り替えることで、一部機能を先行体験することも可能です。
それでも懐疑的なあなたへ
新しいSiriへの期待感がある一方で、慎重な見方も存在します。
「またAppleが過大な期待を煽っているだけでは?」
Apple Intelligenceは2024年のiOS 18で大きく宣伝されましたが、当初は機能が限定的で失望した人も多かったのは事実です。今回のGemini搭載も、全機能の展開はiOS 27まで待つ必要があるため、「iOS 26.5で体験できる機能は限定的」という可能性を念頭に置いておく必要があります。
「GoogleにAppleのデータが渡るのでは?」
AppleはPrivate Cloud Computeによる隔離処理を強調していますが、第三者機関による独立した検証は現時点では限定的です。機密性の高いデータを扱う場合は、Gemini連携をオフにしておくことを推奨します。
よくある質問
Q. 新しいSiriを使うには追加料金がかかりますか?
基本的な機能はiOSのシステムアップデートで提供されるため、追加料金は不要です。ただし、将来的に高度な機能が「Apple Intelligence Pro」といった有料サブスクリプションに組み込まれる可能性は否定できません。現時点では無料での利用が前提です。
Q. iPhoneの機種制限はありますか?
Apple Intelligenceと同様に、対応はiPhone 15 Pro以上(またはApple Silicon搭載Mac/iPad)が中心になると予想されます。古い機種ではオンデバイス処理能力が不足するため、対応外になる可能性があります。
Q. SiriのGemini連携はAndroidでも使えますか?
いいえ。今回の連携はiOS/iPad OS/macOSのSiriに限定されます。AndroidではGeminiアプリが直接利用できます。
Q. 現在のSiriでChatGPTに連携しているが、Geminiに変わるのか?
ChatGPTとの連携は引き続き選択肢として残ります。新しいSiriでは「デフォルトのAIモデル」をChatGPTかGeminiかユーザーが選択できるようになる見通しです。
Q. AppleとGoogleのAI提携はいつまで続くのか?
複数年の契約と伝えられていますが、詳細な期間は非公開です。Appleが独自の高性能LLMを内製する技術力を持つ可能性もあり、将来的には自社モデルに切り替えるシナリオも考えられます。
関連記事
- Geminiとは?Google AIの使い方・できること・料金を初心者向け解説
- AIツール完全入門|初心者がまず知るべき基礎知識と選び方
- Google WorkspaceのGemini「Help me create」使い方完全ガイド
- AIで仕事を効率化する方法|業務別おすすめAIツール完全ガイド
まとめ——2026年、SiriはAIアシスタントの主役に返り咲けるか
Apple×Google提携による新しいSiriは、単なるアップデートではなくSiriのアーキテクチャそのものを刷新する大改革です。
今回のポイントを整理します。
- 2026年1月にAppleとGoogleが正式提携を発表。GeminiがSiriのバックエンドに採用
- アクションチェーン(最大10ステップ)、画面認識、パーソナルコンテキスト理解が実現
- 展開はiOS 26.4→26.5→iOS 27と段階的。完全版は2026年秋以降
- 日本語の完全対応は2026年秋〜2027年頃の見通し
- Gemini連携はオプトイン形式で、プライバシーへの配慮は維持
次のアクションとして、まずiOS 26.5(2026年5月予定)のリリースに合わせてデバイスをアップデートし、Apple Intelligenceの設定からGemini連携を有効化してみてください。日常の操作をSiriに口頭で頼む習慣を少しずつつけていくと、新機能の恩恵を自然に受け取れるようになります。
出典・参考情報
– Apple picks Google’s Gemini to run AI-powered Siri coming this year | CNBC
– Apple Explains How Gemini-Powered Siri Will Work – MacRumors
– Apple To schedule Gemini-Powered Siri Debut For iOS 26.5 Beta | Ubergizmo
– Apple’s Gemini-powered Siri upgrade could still arrive this month – 9to5Mac
– Google’s Gemini to power Apple’s AI features like Siri | TechCrunch


コメント